「溶接ニュース」(平成22年7月26日付け)より引用
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独ベルケンホッフ社
銅合金ワイヤに特化 - 強度増し塗装密着性の向上
ドイツ・ベルケンホッフ社は120年の歴史を有し、フランクフルト近郊に位置するホイヘルハイムに本社と2工場を擁して、 年間1万2千トンの銅合金ワイヤーのみに特化して生産している。

製造工程は、原材料の選別から最終製品の出荷まで、完全な一貫製造体制をとっており、 エレクトロニクス用、放電加工用、溶接・ブレージング用などの分野で銅合金ワイヤーとして使用されている。

また、同社は定期的に大学や研究機関や産業界とともに共同プロジェクトに参加しており、 2006年から2009年の3年間、 Proremix(Producing, Repairing and Recycling of products in material-mix-construction)に参加した。

Proremixの参加メーカーは、ドイツ・ベルケンホッフ社をはじめ、トーチメーカーのビンツェル、 スキャンソニック、産業ガスメジャーのリンデなど、ワーキンググループには、ポルシェをはじめ、 アウディや自動車部品メーカー、ロフィンなどが参加していた。

その中で、ベルケンホッフ社は新しい銅合金系ワイヤーとして、Cu-Mn-Ni系やCu-Mn–Zn系のワイヤーを開発した。 様々な種類がある銅合金系ワイヤーの中でも、現在、市場で幅広く使われているのはシリコンブロンズワイヤが中心である。

用途としては、亜鉛メッキ鋼板同士の接合などに使われており、MIGブレージングから最新のレーザブレージングや プラズマブレージングといった接合方法で使用されている。(図1参照)



ベルケンホッフ社は、シリコンブロンズワイヤーの中で標準とみなされるように最適化した「bercoweld® S3」を販売している。

bercoweld® S3はDVS(ドイツ溶接協会)の要求に基づき、独自に厳しく制限したSi含有量となっており、 接合後のビードに延性があり、市場に出回っている類似のシリコンブロンズワイヤーより脆化が低い傾向である。

また、独自に制限したSi含有量の効果により、自動車産業では、 接合後の塗装工程で行われるリン酸塩処理において形成する皮膜を均一にすることができ、塗膜密着性を向上させている。 さらに、ベルケンホッフ社の研究開発チームは、湯流れ特性などを改良して、 「bercoweld® S2」と呼ばれる新しい合金成分のシリコンブロンズワイヤを開発し、著しく良い接合結果をもたらしている。

一般的に、ブレージングは溶接に比べ強度が落ちると認識される方も多いが、引張り強度に問題はない。 ブレージングの特長として、ギャップに強く気密性にも優れており、熱影響によるひずみも少ない。また、 様々な合金によって広範囲にわたる強度に適用の可能性があるため、さらなる用途の広がりを模索している。(図1参照)

今後国内において、欧州で見受けられるような車体部分でのレーザーブレージングやプラズマブレージングの 本格的適用が見込まれる。ベルケンホッフ社の銅合金ブレージングワイヤーは、これまでに蓄積した技術により 独自の含有成分を配合し、様々な用途のために約30種類の製品を取り揃えている。

同社の日本総代理店である株式会社オベロン(本社=兵庫県西宮市)も、 レーザーやプラズマなどの熱源にも対応する観点から ワイヤー径0.8~1.6ミリまで用意し、 顧客ニーズに応じたブレージング材料をサポートする体制を強化している。

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